のびのびおんがく

心に残ったライブのことを書きます。

爆発、キャンプファイヤー、ロック

2019年6月17日、京都磔磔へ行って来た。

私の思い出企画、京都大応援大会vol.7。今回はイヌガヨを招いての大会。 

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イヌガヨ

大阪府堺市北区からやって参りました。僕たちがイヌガヨ。どうぞよろしく。」じゃっくさんの一言でステージが始まる。飛び上がって鳴らされた1音目には、強い意思を感じる。1曲目「野獣、暁の荒野に死す」。今日ここに来たことは正解だったなと思った。俺はここにいる、そしてお前もここにいると言われている気がした。それがどういうことか言われなくてもわかる。前も後ろもわからないほどにぼさぼさの髪の毛の間から見えるじゃっくさんの目は、まっすぐでドキッとするほど鋭い。

イヌガヨのステージを見るのは初めてだった。力強いとかパワフルだとかそういう生ぬるい形容よりも、衝撃の音を聞いたという方が近い。

MCでは、京都大応援大会について。登山隊長にどういうことかと尋ねたそう。対バンだと、“VS”と題されることがよくあるけど“戦い”というわけではない。私の思い出のことももういいから、争いではなく、活動している京都を応援して欲しい、ということだそう。「登山くん、選挙でるんかなあ」なんていじられていた。私の思い出のネパールキャンプが決まったことに関しては、「わくわくするよなあ。」「ヒマラヤの頂上で、無事たどり着いたぜーって言って欲しいですね。」。しばらくネパール面白そうだ、という話が続いて、わちゃわちゃと話すのは関西ノリのMCだったかもしれない。でも、曲が始まると、もうおもろい兄ちゃんではない。彼らの熱量に圧倒されてばかりだった。

「ロックンロールが何だか誰にもちっともわかんねえ」なんて歌い始める「ロックンロール」。サビは「ロックンロール、イエー!」という歌詞。なんて直球なんだ。でも、ここにいれば、それがわかってしまうような気がした。フロアとの掛け合い、熱がこもった一体感に驚く。きっと、一人一人の心の中に爆発があって、決して1つになれやしないのに1つになれるかのような一瞬。音楽、最高じゃないかと思った。

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 「人生、最後まで楽しもうぜー!」

この一言に説得力のあるバンドはなかなかいない。前夜、じゃっくさんはツイッターで、イヌガヨはヒューマンロックと称されることがあると書いていた。ロックはだいたい人間の音楽だ。当たり前だけれど。でも、どこか角の取れた芯のないロックが町に溢れる中、イヌガヨの音楽のように、泥臭くて飾らない、いわばありのままをまとった音楽は、より人間の生き様がむき出しになる。それが、わざわざロックにヒューマンという語をつけたくなる理由だろうか。彼らは、夢というにはとっても素朴な希望を歌う。ただ生きるということ。当たり前で当たり前でない、その「生」の素晴らしさを叫ぶ。

最後の曲は「生活」。ここにいる仲間達とのアンセムみたいな曲。拳を握りしめる力がどんどんと強くなっていくのがわかる。この瞬間を共有していることが嬉しくなるような、そんなステージだった。

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(セットリスト(じゃっくさんのツイートより)  野獣、暁の荒野に死す/月光のパレード、砂漠にて/ロードムービー2/ライフイズビューティフル/バンド オン ザ ラン/ダンシングインザムーンライト/スローモーション/ロックンロール/生活)

   

私の思い出

隊長「月曜日やんな?よっぽど仕事ができるのか、諦めて来たのか…。月曜日にここ磔磔に辿り着いたこと、間違ってません!!!」

アドベンチャーロックに曜日など関係ない。磔磔の階段から冒険的に登場してきた私の思い出。客だって冒険的である。隊長の言葉を聞いて、また一歩アドベンチャーの道を進み始めたメンバーと客。もう後戻りはしない。1曲目「Let's go THE CAMP」。

 磔磔をキャンプの景色に塗り替えたところで、2曲目「釣り」。先月、「岡山ファーマーズマーケットノースヴィレッジのテーマ」と両A面的シングルとして発売となった楽曲である。

キーボード安東先生のサポートの域を超えたサポートにより、演奏面はもちろん、パフォーマンスも進化している。

 

次は「雪山大宴会」。おかしいと思うが、めちゃくちゃカッコいい演奏だった。どれくらいカッコイイかと言われれば、彼らのバックにヒマラヤ山脈が見えたくらいだ。

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 MCでは、 イエティのことを歌ったら、ネパールでウケて、ネパールキャンプが決まったこと。なんとネパールでは、私の思い出の曲が、日本語の教材として使われているらしいのだ。そして、そのことが月刊ムーに取材されたというミステリーな話。ムーもなかなかアドベンチャーである。

 

当たり前かもしれないが、彼らは音源のコピーのような演奏はしないし、なんなら演奏をしたいのか、ネタをしたいのかわからない。次の曲は「つりばし」。今回は、バタやん氏、中居貴族氏、ジーザス氏とつりばし を1人渡り(歌い)きるごとにどんどん雲行きが怪しくなって来た。隊長が歌い出だすと、メンバーはただの煽てるだけの人になり、安東先生が渡ろうとすると、皆楽器を置き、最後にはバナナが飛び交っていた。彼らはただのアドベンチャー野郎じゃなくて、ただの小学生じゃないのか…。(こんな場面では、安東先生のキーボードはオルガン風の音を奏でていて、小学校の教室感を高めていた。演出に拍手。)
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目の前の状況に頭がついていけず、写真は上手く撮れていない。 

けんかもした。仲直りもした。最後には仲良くフィニッシュ。

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もうなんでもありだ。次の曲「虫とり」では虫も出てきた。虫とりの曲だからって、虫がでてこなくてもいいのに、実直すぎる。 どんなことがあったのかは、写真から察してほしい。

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最後の曲は「おにぎりユニバース」。令和に時代が変わった時、おにぎりを握るお兄さんも代がわり。こうやって握るのです!!と先代にハエたたきで指導。

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キャンプでもCDでも何度も聴いた曲。なのに、おにぎりを持って歌う彼らを見ていたら、お前の好きなように進め、と言っているような気がして急に泣けてきた。なんやねん、メッセージ性あるやんか、と涙目で拳をあげる。解釈はもちろん、フリーダム。

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アンコールは「おはようのきもち」。月曜だか何曜だか知らないが、毎日朝は来る。多くの人は明日も仕事か。 もしかしたら、これは応援歌だったのかもしれない。しかし、おはようのきもちを忘れるな、という歌詞ではなく、小学生みたいにおはよう!いえーい!と言ってる曲。だが、私はそんな曲が大好きで、そんな音楽に希望を見る。

キャンプは 時間をきっかりに守って終了。ステージはおかしいけど、ちゃんとしている。

 

私の思い出はアドベンチャーロックである。

キャンプに行って、釣りをして、つりばしを渡って。虫をいっぱい追いかけてたら、おなかが空いておにぎりを食べる。おにぎりを食べたら、なんだか宇宙の神秘に気づいてしまう。生きるってなんだ。自由を叫びたくなって来た。僕らは自由。夜を超えて、朝がくる。大空の下迎える朝は清々しい。何度でも朝を迎えたい。ああ、生きているって素晴らしい。みたいなロックのこと?私にはわからない。だが、これだけはわかる。キャンプは楽しい。

私の思い出は、どんどんアドベンチャーになってきて、さらにはミステリーにもなってきた。期待しかない。私はこれからもアドベンチャーを共にしていきたい。

(セットリスト Let’s go THE CAMP/釣り/雪山大宴会/つりばし/虫とり/おにぎりユニバース/おはようのきもち)